遠くの戦争/篠原久美子

アンケート

 

◆とても感動しました。今までの私の見たどろの劇の中で1番か2番です。今の日本の良質な知識人の叡智が結集したらこうなるという感じがしました。戦争が人ごと、よそごとではないという危機感がひたひたと伝わってきました。兵士が作られるメカニズム、戦争が肯定されていく過程、加害という意識をどう血肉化するかという問題提起、こんなに難しいテーマを本当に見事に凝縮して示してくれました。知らなかった事実も多く涙が出ました。『お母さん』の方の語りがとってもよかったです。(60代女性)

 

◆世界各地で繰り広げられている戦争、難民、貧困は深刻です。パレスチナや日本も含めて。原因はいろいろ考えられますが、為政者、宗教家、資本家等の権力への執着だと思っています。人々はその手段に利用されています。その根は大きく深く解決の道は厳しいです。

 人々の気づきが大切で、今回の朗読内容は的を得ていたと思います。朗読方法は読み手の感情移入が強いと押し付けに感じられますが、もう少しメリハリがあっても良いと思います。“とちり”が目立ちましたが、練習不足だったのでしょうか。とは言え、素晴らしかったです。次を期待しています。(60代女性)

 

◆これは「遠くの」戦争ではないということを、まず肝に命じなければならないと思いつつ重い足どりで帰りました。一度聞いただけではすべてを理解出来ません。しかし、よく練られた、ルポと手紙をひとりひとりの声で、どうしても伝えたいのだと訴えてきます。もし、私の孫がアブドゥールであったら…、息子たちがもし自衛隊に行くと言ったら私はどうするだろうか。辺見庸がいつか新聞に寄稿していました。「私たちはがいして〝苦悩容量〟を超える大きな悩みや悲しみをわれわれは無意識に〈なかったこと〉にしてしまう傾向がある。」今回の朗読劇は、私たちの「責任」は何かを深く突き付けてくれました。出演された方々の抑えた、でも力強い発声に共感を覚えます。特に若い人たちの個性と役柄がぴったりだと感心致しました。大きなステップになることでしょう。これからを期待しています。(60代女性)

 

◆あっという間の1時間半でした。人類が繰り返してきた[戦争と平和]、その一見「加害者と被害者」の立場から、矛盾を引き出し、現在につながるテーマを、母と二人の息子を通して描いた「脚本」……。読んだだけでは、感じなかった臨場感を、適材適所の役割をこなされて、朗読されたので、大変生々しく味わう事が出来ました。(読む場所はどなたが決めていったのでしょうか? あまりにもぴったりなので…)

 日本の中の《沖縄問題》は、まさに、沖縄の痛みを感じない「日本人・政府」によって現状を容認している……、今回の「朗読劇」を通して、「イスラエル人」と重なり怖くなりました。

みなさんの息のあった演技、必要最小限の音と光の構成の中での、時間と空間を超えた演出、「朗読劇」の奥深さを再認識させられたひとときでした。本当に有難うございました。(女性)


◆ものすごく重要な問題を投げかけている内容でした。誰が悪人なのか、誰が何をしたことで誰を苦しめているのか、その図式すらわからない。悩んでも答えは出ない。けれども知らないという一番の悪から知ることで、一歩進めたのだと思う。いいお芝居をありがとうございました。(30代女性)

 

◆朗読劇は初めてでおもしろかった。平和のために頑張ろう。(60代男性)

 

◆とても感動?(心にひびく、残るもの)が有りました。平和すぎる日本でのいろいろな問題、世界で起きている問題、どこかつながっているのでしょうか? 私が出来ること、考えていきたいと思います。これからも頑張ってください。ありがとうございました。(60代女性)

 

◆良かったし、心に重くのしかかりました。いい朗読劇だと思います。かたりも部屋の広さもいい感じでしたが、立ちっぱなしで少し疲れました。(40代女性)

 

◆内容がとても良く一言一句、聞きもらすまいと懸命に聞かせてもらいました。皆さん、どの方も熱い想いを持って、こちらによく伝わってきました。ひじょうに中身の濃い時間をいただきました。出演された方全員に感謝します。この問題を共に考えていきたいです。(50代女性)

 

◆すごく良かったです。(50代男性)

 

◆とても良く伝わり、日本との比較、言葉の表現はできませんが、とにかく良くなっていかねばならないと思います。構成というか、シナリオははとても良くできている。このような表現方法は、どうかと思いますが、すべての人間が幸せになるにはどうすれば……。(60代女性)

 

◆貧困、戦争がビジネスになっている現在のこの世界、戦争をやめさせるのに何をすれば良いのか、ひとりの弱さを感じます。しかし、早く平和の世が来るように何かをしなければとも思います。知る事からなのか、行動は何をどのようにすれば良いのでしょう。(60代女性)

 

◆正社員がフリーターに絡むシーン「フリーターのフリーはどういう意味かわかっているのか……」と「おかあさん、ぼく自衛隊に入るよ。公務員だから」のシーンが特に印象的だった。戦争は本当に酷いもので、結局、いわゆる弱者同士が憎しみ合うように出来ているのだな、とつくづく感じた。生きる権利はこうやって踏みにじられていくんだな、と。(40代男性)

 

◆皆さんの演じる姿にただただ感激致しました。(30代男性)

 

◆日本の平和な状態も実は個人の内面や家庭内で戦争と同じような恐慌状態にある事、真の平和とは、“単に戦争がない状態”なのではなく、個人や家庭、社会、国家が愛に満ち、すべての人類が幸福と感じられる状態であることだと感じました。実現は難しいかもしれませんが、それに向って努力することをやめない様にしたいです。(30代女性)

 

◆朗読劇って初めて知りましたが最初『希望は戦争』ってどんな内容なのか戸惑いましたが、現在社会と人のあり方がすごくわかる芝居で感動しました。(女性)

 

◆普段、あまり意識して考える問題じゃなかった(見ないふりしていた)けれど、改めて実際に、今起こっていることなんだと感じ、他人事だなんて思わず、考えたいと思った。劇団員の人たちそれぞれその人物を連想させるような語り口調で良かった。(20代女性)

 

◆次の公演も楽しみにしています。がんばって下さい。(30代男性)

 

◆良かったです。ちょっとクーラーが寒かったです。(30代男性)

 

◆昔大開の近くで、屋上で練習するのをたまに見かけました。初めて公演を見てもっと知りたくなりました。(30代女性)

 

◆昨日は夫が来ました。「良かったよ」と言ったので、今日は時間があり、私も来させてもらいました。いろんな事がよく分かりました。知らない事が多いことも、自覚しました。いい一日になりました。ありがとうございました。(60代女性)

 

◆伝わりました。ただ長過ぎて途中から腰が痛くなりました。今後もがんばって下さい。ありがとう!(40代男性)

 

◆皆さん上手でした。内容も良かったです。(20代女性)

 

◆①平均して女性の方が良かった。男性よあせらず奮起を。

 ②映像の転換がやや早すぎ。

 ③1時間半、固い椅子に尻が悲鳴を上げた。でもよかった。(80代男性)

 

◆始めのあいさつで、“たいくつ”と言われ、不安でしたが、まったく眠くならず、このようなお芝居は初めて見ましたが、テーマも興味あり、おもしろく見られました。パレスチナと日本がこのように深くつながっているという視点も良かったし、出演している方々のせりふの言い方もそれぞれで、テーマが重くてもとても楽しめます。(50代女性)

 

◆今日の皆さんの朗読が上手だったので、より心に響きいろいろ考えさせられました。よかったでした。(50代女性)

 

◆死んでいった里子たちではなく殺された里子たちではないでしょうか。私はここから(場面から)アメリカに対する怒りがわいてきました。そして体が怒りであつくなりました。5年前ぐらいに貧困と戦争の話を聞きましたが、今、日本もそうではないでしょうか。若者にはハケンしかないのですから。(60代男性)

 

◆戦争の悲惨さや、社会への不条理さを考えさせられました。(30代男性)

 

◆平和の大切さを考えさせる内容でした。ありがとうございました。(女性)

 

◆チラシのあらすじを見た時から是非いかねばと思いました。あらすじ以上に大変重い重い内容でした。言葉が出ない息苦しさです。よい朗読劇で感動しています。(60代)

 

◆とてもすばらしかったです。家に帰ってゆっくり考えたいです。(50代男性)

 

◆国内の貧困問題と中東のガザで起きている虐殺事件との関わりを考えさせられる劇でした。派遣労働者のおかれている現状もあらためて現実を知るセリフがあってびっくりした。(50代女性)

 

◆とても感動しました。涙が出そうになりました。自分の今まで「よく知らない」「わからない」「しかたがない」と見過ごしてきた事をもう一度よく考えてみようと思いました。自分が正しいと答えが出せるように、一歩でも近づきたいです。(30代女性)

 

◆戦争の残酷さ、そしてそれを行わせているのは他ならぬ人間なのだと……。(30代女性)

 

◆ぼくはイスラエルという国のことを、あまりしりませんでした。パレスチナ人との関係を、どうしてよくしないのだろうと思いました。イスラエル人は、ナチスからホロコーストを受けているのに、なんで「こんなことをしてはいけない」と思わないのだろうと思いました。みんなお上手でした。(小学6年男性)

 

◆わたしは、A.D.1927年生まれの83歳、戦前派で、あの愚かな太平洋戦争の時代に青春時代(終戦時18歳)を過ごした者です。戦争は絶対におこしてはならない、それは国民の考えてない事であり、権力者達の為せるわざと信じています。本日の「遠くの戦争」を観劇致し、多くの宿題を背負いました。パレスチナ・ガザに対して同じような大量虐殺を行うイスラエル……それを支持するのはアメリカ政府(アメリカの国民ではありません)……その世界戦略の一翼を担う日本(自民党の小泉首相は、その最たる権力者でした)……そして、アメリカ政権を自由に操作している人達が、国際金融資本マフィア(広瀬隆による)です。この現在の構図を、しっかりと修得せねばなりません。戦争も宗教戦争も、民俗戦争も、このマフィア達の儲けのための一つの方法です。特に核兵器を、人類は入手しましたので、戦争は不可能の筈です。今後、貴劇団に於かれても、この多くの宿題を解決する方法を一つでも多く呈示して戴く事を希望致します。(80代男性)

 

◆堺市在住

角家年治さんのブログより

http://blog.hullz.net/

久々に鉄人の街に行ってきた。その商店街の建物の一室で朗読劇があったのだ。客席は階段状に五段で、それぞれ八つのパイプ椅子が並べられていた。僕は一番前の上手側に座った。舞台は黒で統一されており、舞台の中央が二段高くなっていて椅子が一台ずつ置かれ、両脇にも椅子が数台、僕の目の前に三台置かれている。天井に設置されている照明は様々な方向を向いていて客席に向かっているのもある。そして真正面に廃墟のようなモノクロの写真と共に「遠くの戦争~日本の母へ~」とプロジェクターで映しだされていた。

 

時間になると代表の方が登場して、ゆるい話があった。朗読劇なので眠たくなるかもしれないが、そんな時は寝て下さいと。でも鼾はかかないでくださいとのことだった。実は僕自身もそれを心配していたが、しかし、とてもそんなレベルの芝居ではなかったのだった。

 

登場した役者の人たちは様々な年代の方が入り混じっていて、それだけで何かほっとするようなものを感じた。物語は、日本の里親である女性ととレバノンに住むパレスチナ難民の男の子との手紙のやりとりが基軸となって展開していく。母とその男の子だけは一人一役だが、総勢六〇数人の登場人物があり、多い人で一人六役ぐらいを兼ねていた。しかし、混乱させられることもなく、それぞれのキャラがしっかりたっていて、充分伝わってくるものがあった。

 

母は月々5000円をレバノンの里子に届けている。しかし、パートの勤めを二つこなしながらやっとの生活を日本で送っている。離れて暮らす本当の息子は、正社員を目指し派遣の仕事をしていたが、やがて首を切られる。5000円も里子に支払っている余裕なんてないだろうと母に詰め寄る。「貧困層にとって平和よりも戦争があるほうが、失うものが何もない貧困層にとって、チャンスになるんじゃないか」、と赤木智弘氏の言葉を織り交ぜながら物語は進んでいき、やがて息子は自衛隊に入隊することになるが…。

 

この他にも様々な物語が織り込まれていく。過労死した息子を持つ母。トラックの運転手としてイラクに派遣され、被爆した貧困層のアメリカ人。虐殺された村を取材をした時に、戦車の上でビーチパラソルをひろげくつろいでいるイスラエル兵を見て、泣きながらその場を去った広河隆一。里親運動を展開する広河に対して、「子どもに菓子をやるな。甘やかせば銃を持たなくなる。」と暗殺命令を出す過激派。その過激派の事務所にデモをするパレスチナの母親たち。沈黙を破り、無差別にパレスチナ人を襲撃したと証言するイスラエル兵。それを取材した土井敏邦。その他にも雨宮処凛、堤未果、大江健三郎という役名の人物も登場し、著書が引用されていく。

 

貧困、労働、自殺、戦争、様々なことがLINKして、幸せってどういうことなんだろうと考えさせられる。2008年12月27日から翌年1月17 日までのガザへの攻撃で亡くなったパレスチナ人は約1400人。日本の1年間の自殺者は約3万人であるが、それをガザ攻撃の22日間へと換算すると約 1800人。戦争がないはずの日本のほうがガザよりも死者が多いこの現実に、あらためて打ちのめされる。諸外国との戦争はなくとも、それは引き籠りとして、ニートとして、そして自殺として、内なる戦争は起きているということだと、この芝居は伝える。

 

先日も玉本英子さんの講演会で、今のイラクの様子を聞いてきたが、その中で一般家庭を取材した映像があった。中流よりは少し上の家庭らしいが、少なくとも僕の生活よりも裕福であると感じられた。アメリカや多国籍軍にさんざん破壊されてきたあのイラクなのにだ。電気は一日数時間しか通電しなく、水は時々止まるような生活なのにだ。ひとつひとつの部屋は広く、電気製品もあふれ、突然訪問した玉本さんたちにケーキや飲み物を出す余裕まである。これが上流家庭となると、家は総大理石となって、日本の上流家庭などとは比べ物にならないらしい。

 

日本は外国と比べて見ても、本当は経済的に見ても裕福じゃないのだ。その上自殺者が年間三万人という心の貧困さまで加わっている。日本人は、あのマトリックスのように、何か虚像を見せられて生きているのではないかと思えてくる。目の前にあるものを疑わなくてはいけない。

 

里子に送る最後の手紙の中で母はこう綴る。

「日本にはたしかにパレスチナと同じように爆撃を受けた広島があるが、いまの日本は人の痛みを感じないイスラエルに近づいてきている。」と。