「にんじん」観客の反応(メールの部)

低すぎた椅子

 『にんじん』は予想以上といえば失礼になりますが、正直「卒業公演」と聞いていたので、それなりの予想はしていたのですが、すばらしい劇で驚きました。「会話劇」という形態に戸惑いもあったのですが、あの膨大な台詞にただ圧倒され、劇に引き込まれました。

 赤毛の役者さんはすばらしいの一言です。ただ、心配なのは今回があまりにもはまり役だったので、次の公演がやりにくいだろうという心配です。

 合田さんの重厚で、陰のある、複雑な演技もすばらしく、これを最後にはして欲しくはないですね。

それと母親の役者さんもリアルというか、本人の地なのか、妙に「迫力」があり、気になる役者でした。

最後の挨拶をされた、女中の役の方が卒業生代表でしょうか。役柄、インパクトがなく、難しい役なのでしょうけど、演技上では重要な役なのでしょうね。

 

 さて、標題の椅子ですが、あまりにも低く、不自然というか、後ろにこけないか心配になりました。帰りの電車で、一緒に行った宮里さんも「これだけは言っておいて。ぎっくり腰にならないか心配だった。他はすばらしく、言うことはなかった」ということでした。(50代男性)

 

 「にんじん」の舞台、とっても素晴らしい内容と仕上がりでしたね。有難うございます。

 先ず、演技構成の面から言うと、明らかにこれまでの朗読劇で鍛えた凝縮した演技と、内容を的確に観客に伝える発声法の成果が実を結んだ形だと思いました。赤毛(フランソワ)の黒木美智子さん、アンネットの神宮知枝さんの演技内容は塾を終えたばかりとはとても思えない充実した内容でしたし、ルピック夫人にしても屈折した内面をうまく形象化していました。合田さんのルピック氏が全体を誘導し、引きしめる重要な役を求心的に見事に纏めていたからこそあのような舞台が可能になったことは言うまでもありません。

 “内面の形象”とか、役を演じるなどと、ブレヒトとはかけ離れた言葉を使うとは何事、とおしかりを受けそうですが、よく考えてみると、人間の内面を究明すること、演劇における役についての考察を深めないことにはブレヒトの世界を手にすることはできないと私は考えます。要は、その内面をいかに社会的な繋がりの中で引き出すか、ではないでしょうか? そのような論争点がいくつも、観客席へ投げかけられていたようにも思えます。

 それから、「人間同士のつながりには何が必要?」との赤毛の問いにお父さんは「気が合うってことだ」と答えていましたよね。ドイツ語で言う“Du gefàllst mir”あるいはロシア語で言う“Ты мне нравишься”はいずれも大変重要な言い回しです。 非科学的な感情の気まぐれではありません。理屈を超えて、人間同士が真に触れあえるモメントです。不合理に見えて決してそうではない。変革も、反革命も、意外とこの不可思議な人間の触れ合いのモメントを無視しては進めることも、食い止めることもできないのではないかと考えます。ルピックさんの言葉をずっと考えていました。

 K女史もとても、とても感激していました。やはり、合田さんの舞台はすごいと、しばし、感激の言葉を連発していました。(70代男性)

 

 素晴らしい芝居を有難うございました。赤毛とパパのやりとり辺りから涙が目に染みて困りました。赤毛の台詞を聴いていて40年前の高校紛争を思い出しました。赤毛の言うことは生徒たちが泣きながら教師に投げかけてきた言葉と同じなのです。子供の観察力は大人の想像を超えています。一方大人は子供の心の内を全く分かっていない。大人の発する言葉が子供にとって如何に大切かを教えてくれる芝居でした。

 劇団の方と台詞について話し合いたいところが沢山ありました。(80代男性)

 

 すぐれていい舞台を観ました……体調を損ねていたのですが、やはり観に行っててよかった。気分もよくなって帰ってきました。そして妻にも多く話しました。ご自身の舞台姿も久しぶりですが、渋くてまさに好演、芝居をひきしめていましたよ。何よりもその意欲に敬服するばかり!

 赤毛ちゃん、楚々として巧まず、爽やかな演技、うまい!好感を持って芝居に引き寄せられました。

 『にんじん』はこれまで自分でいろいろに読んでいましたが、今回の芝居は人間の関係を深く捉え、そのふくそうの絡みが捉えられていました。最後の短い台詞に救いを覚えます。

 

 妻は所用があって観られず、残念がっております。出演者の皆さんによろしく!(70代男性)

 

 合田さんのパパすごくかっこよかったーーo(^-^)o合田さんてこんなにめがね外すとまたかっこよかったっけ(v^-)とまたまたほれなおしましたあ。セリフすごい、覚えられないといいつつ、出ずっぱりで、覚えたんだウフ(゜▽゜) ずっと観ていたいような演劇でした。味わいながらでした。

またあらためて、愛されたい気持ちとは、家族とは、むずかしいけど感想書きますね~!あの主役の方も絶妙な何か距離感で良かったです。あらためて、どろのバランスのジャストさみたいなのを、この前の「星の時間」から、奥深くどろらしさというもの思いました。

 

 複雑なストーリーだけど全体の雰囲気は好きでいつまでも見てたいような絵画のような演劇でした。

 主役の人(黒木美智子さん)あの世界に合っていて童話から出てきたような、でした。でもセリフは甘ったるくなく、ちょうど耳心地もよくてわかりやすく入ってきてよかったです。すごい、今年初めてとは思えない。コラボでプロの人呼んできたのかと思った。

 

 赤毛はアンネットのことも気遣いふたりの時だけこうしてね、とアンネットがわるく思われないようにいってていい子やな、と思いました。自分のことをえらいとか思わせないところとか。

 

お父さんと対話が、あんなにじっくり出来てすてきな関係やん、と思いました。

 

でも仲がよくない時に生まれたからって、子どもには何の罪もないし子供によってむしろ癒されるのではと思いましたが…現実はちがうんですね☆

 

 愛されたいお母さんの気持ちがすごく全身で伝わってきました。きついセリフなのにかごめさんそれを感じさせるなんてすごい。もう対話で改善できないほどとはどういうものなのか・・・と悲しくなりました。

 

 家族の関係、家族にはその人の人生に対してやはり責任があると思う。だから言いたくないことも言わないといけないし。同時に家庭はほっとできる場でないと意味がない。友人も家族以上くらいの人いるけどまた責任までは違うのではと思います。でも選ぶことのできない家族と仲良くやっていける方が不思議かも、ですね。愛情が家族にさせるのか、研究に値しますね!もっと考えたいです。

 すばらしい演劇を有難うございました。(40代女性)

 

 とても興味深い劇でしたし、児童虐待や人間心理、家庭問題も(今でいう機能不全家族でしょうか)を見事に描いていましたし、僕の知る感じでも、ああいう家庭は現代でもある、夫婦関係に関しては、やっぱりどちらか一方のみの責任でなく、男女両方の責任がある(また、子どもの問題は親に第一の責任がある、子どもは生まれる家庭を選べないのだから、と感じましたね)

 観劇している内に、色々気付いたり、感じるものがありましたね・・・(20代男性)