いやいやながら医者にされ/モリエール

アンケート

◆昭和20年代前半、神戸まで来てくれた中央の劇団は前進座だけでした。中学生・高校生だった私は、どんな小さな場所での公演でも、前進座の公演とあれば、追っかけて観ました。その中に、新開地のストリップ劇場(!?)での、「心ならずも医者にされ」がありました。スガナレルは松本染升さんだったこと以外、ストーリーも配役も憶えていませんが、今回、そのことを懐かしく思い出しながら拝見しました(22日昼)。

 

◆「どろ」の公演は初めてです。歴史のある劇団で、多彩なレパートリーをお持ちなのにすみません。でも、とてもよかったです。

 モリエールといえば、歌舞伎と同じく、最初から「お芝居」という枠の中に納まっているから、気持ちよく観られたということもあります。いわゆる新劇というか、現代劇というか、現実が舞台で演じられているような場合、へんに声が張ったり「芝居がかっている」とシラケルのですが、「お芝居」であれば、芝居がかっていて当たり前、学芸会的演技の若い人が混じっていても違和感はありませんでした(大半の出演者は老練という感じがしましたので念の為)。

 あれくらいの空間が観客との距離としても最適と思います(出石の永楽座で歌舞伎を観た時も、同じことを感じました)。

 装置、音楽ともども場面転換が見事で感心しました(録音でなく、生の音楽を活かしたアイデアが気に入りました)。衣装もお金がかかっていない割には、貧相な感じがなくて、好感をもちました。きっとモリエールの時代もこんな具合にやっていたのではないかと思いました。

 大正筋の雰囲気も気に入りました。高齢者が暮らしやすそうな街だと思いました。ここを根城にやっていかれるといいと思います。

 また観せていただきたいと思います。大変でしょうが、頑張ってください。(S.Nさん)

 

◆「いやいやながら医者にされ」の舞台、素晴らしかったですよ。有難うございます。ご苦労様でした。

全体に日本の狂言を思わせる、無駄のない、しゃれた舞台です。それでいて実に刺激的でした。

 モリエールは戯曲をカルネヴァルのように作ることで、全体を寓意性、風刺に満ちた内容に構成していたのですね。

亭主(スガナレル)と女房(マルチーヌ)、ジェロントとそれ以外の人たち、の対立的構造の中に歴然とした“支配”と“被支配”の関係が埋め込まれている。そこにおいてはすべてが“暴力”に象徴される関係に集約されています。

 マルチーヌの「あたしゃ殴られたいんだよ」という台詞、まさに被支配者の“奴隷の天国”を笑いの中に位置付けていました。

 出演者たちも皆、好演だったじゃあないですか。まだ、いろいろ言いたい点もありますが、またお会いしたときに。

 ただ一つだけクレームをつけさせてください。冒頭の口上役の二人の女優です。あまりにも幼すぎます。

 口上は大変重要です。もっと踏み込んで、その日のニュースを軽くコメントしながら、「あまり私たちが面白いことを喋ったら後の本番をお客さんが観てくれへんから、ここら辺でやめとこ」ぐらいの茶化しがあってもよかった。現在の日本とモリエールのつながりを問いかける口上であってほしかった、と思います。それから、劇団どろともあろうところが「携帯電話の電源を切って」などというショウモナイ要請はしない方がいいと思います。仮に携帯が鳴ったら、役者が臨機応変にアド・リブを入れて携帯の時代を皮肉り倒すぐらいの役者魂があってほしい、と思います。とにかく、このあまりに怠惰な、標準的(体制による支配しそうに汚染された)な思潮に流されたり、歩調を合わせることだけはやめて欲しいと思うのです。(K.Sさん)

◆公演お疲れ様でした。

 私はモリエールは初でしたが、テンポも良くとても楽しく観劇できました。イスのみのセットも想像力のきっかけとなり、生演奏での音楽もリコーダーというのが懐かしくもあり、素朴でマッチしていたと思います。役者のみなさんも、やはり年齢相応の存在感がありました。

 ここ3年、講師業ばかりで芝居に飢えているので、今日観劇させて頂いてますます芝居がやりたい欲求にかられています。是非、機会があれば客演させて頂きたいです!!(名古屋M.Yさん)

 

◆「モリエール」どろらしくない、とか喜劇?!と上演前はさまざま微妙に聞こえてきましたが(^^)で、え、そうなんだ今回どおかなあ?とは思いつつも私はそんなに心配?まではしていなかったんですが、まったく予備知識なく観ましたが、純粋に楽しく可愛く、楽しめ、フランス&メルヘンのような世界が無条件に私は好き なので、世界に演出で引き込んでくれてよかったです。しかも、ただの喜劇じゃなくて、なんか全体的にお洒落で、高級なユーモアという感じがしてました。リズム感や動きもよくて、どこから見ても面白かったよ! みょうな論理も面白かったですし、暴力でいうとおりになっちゃう危惧(否、でもかなり痛いですよね)も示唆して いたのかしら? お金であれだけ急に変わるのも問題提起でしたよね!

 そういえば衣装も作るとおっしゃっていて人物の書き分けも上手にできていた感じがしました。それ以前にいつもキャスティングが絶妙ですよね! ボレロ三村さんまた名演技ですし、ななしの康子さんとかいい存在感ありますよね。あのリコーダーの生演奏と動きも愉しめました。ユミさんのオルガン版もめずらしくて。

 照明、あのレースのような窓もふんわりよかったです。

 そういえば、今まで重い作品ばかり作っていたケン・ローチ監督も、今回「エリックを探して」で、ふとコメディを作りたくなったとも聞きましたが、そういうもんなんですか>^_^< この映画はケン・ローチらしくないなと思いましたがメッセージそれだけ?とちょっともの足りませんでしたが、モリエールの方はどろらしい硬派な感じは残しつつはじけていたと思いました。それでは、またいいお芝居楽しみにしています。有難うございました。(M.Nさん)

 

◆今日はすっきりした舞台で役者さん一人一人が生かされた、いいお芝居を見せていただきありがとうございました。キャスティングがよかったですね。にせのお医者さんの演技にも魅せられました。衣装もよかったし。

 リコーダーの効果も演奏者のお二人も音楽もきれいで合田さんのセンスが光っていた、とお茶を飲みながら皆さん同じ意見でした。アートビレッジセンターよりも今日の劇場の方がいい、という意見も7人全員一致しました。

 商店街の人たちとも協力できるようになればいいですね、一人でも多く地元の人々に親しまれるように少しづつ今後の活動を広げていかれますように祈っております。(T.Yさん)

 

◆地域での演劇公演のご成功おめでとう御座います。シンプルな舞台だけに、役者さんの力量がそのまま生で現れる…、合田さんがパンフレットの雑感に書かれた「不安いっぱいのスリリングな」訳が分かるような気がしました。観客の笑い声に気持ちがほぐれ、いつの間にか舞台に吸い込まれていました。本当に有難うございました。(H.Iさん